ダイナー
2026年6月6日
オーリヴェル
「…パトリシアが……」
そうは見えなかったけどな。
「……分かり…
「おう、わかった。皿は置いとく。俺が片付けようとしたら、台所がミッチミチになるだろうからな!」
そういえば全長が2m半以上あるデカタンチョウおじさんは笑った。
タズ
「そうかい。参考にしてくれりゃオッサンは幸いだぜ。」
目を…
「…パトリシアが……」
そうは見えなかったけどな。
「……分かりました。聞いてみます。今日はありがとうございました、タズさん。食べ終わったら、お皿はそのまま置いておいてください。僕とルシアで、片付けておきますから」
オーリヴェル
「…道……」
あるのだろうか、色んな人に聞いて、もしかしたら、…
「そうかい。参考にしてくれりゃオッサンは幸いだぜ。」
目を細めたような声音で。実際に目があるかは不明だが。
「……マ、その過程でパトリシアの話も聞いてくれたら、更に幸いだ。アイツ素直になれねェだけでさ、オメーのこと気にかけてたのは本当みてェだったからよ。」
タズ
「これは俺の同僚からの受け売りだがな、自分の認識の世界って…
「…道……」
あるのだろうか、色んな人に聞いて、もしかしたら、あの呪われた地から離れられるような道が。
「……分かりました。やってみます」
オーリヴェル
「世界が……狭い…」
それなりに見てきたはずだ。だが、言われて…
「これは俺の同僚からの受け売りだがな、自分の認識の世界ってヨソから見たらまだ狭いもんなんだと。それこそ、角度を変えて見たら普通に抜け道あるのに、行き止まりだーって喚いてるみてェに。」
「で、人に道あるよーって言われねェと永遠に気づけねェわけ。でもこれは、いたって普通のことなんだよ。」
だからまァなんだ、と首元を掻く。
「此処にいる間だけでも、やれるだけのことをやってみんのはどうだ。幸いにも、此処は異世界の話にゃ事欠かねェだろ。俺も、アウトローの話なら出来る。」
タズ
「バチバチの所感で悪いがな、オメー多分、だいぶ世界が狭ェ。…
「世界が……狭い…」
それなりに見てきたはずだ。だが、言われていることは間違ってない。自分は、あの冷たい世界しか知らないから。
「言われた通りにはしてみようと思います。タズさん」
オーリヴェル
「アドバイス…ですか?」
何を言ってくれるんだろうね、どん詰…
「バチバチの所感で悪いがな、オメー多分、だいぶ世界が狭ェ。ので広げろ。」
ドざっくり。
「此処にいる間、兎に角色んな奴観察して、話聞け。どういう世界に居て、それでどういう思想に至ったか、それは人それぞれだ。俺等他人がオメーをどうこうできずとも、オメー自身は、俺等他人からものを得ることができるだろ。吸収しろ、学べ、他人の生き様と選択肢を。」
オーリヴェル
「守る心はとうに壊れました。マセているかは分かりませんけど…
「昔に似たようなことは組織ぐるみでしたことがあるぜ。相手は王族っつーか王みてーなファミリーだったが」
どこのゴッドなファーザーだ。
「まーそんなこたぁいいんだよ。要はオメーにゃオメーのなんかがあると。……じゃあ俺からできるのはちょっとしたアドバイスかね。これでも歳は上なんだからよ。」
タズ
「マセてんなァ。難儀そうなマセ方だ」
特にショックを受ける…
「守る心はとうに壊れました。マセているかは分かりませんけど」
ニコッ
「この町にずっといることは出来ない。この夢が覚めれば、僕は名前を売るだけの道具。タズさん、貴方は、王族に喧嘩を売れるだけの器量は持ち合わせていますか?」
オーリヴェル
「……皆さんは、他人。ですよ」
サラッと言い放つ。
「だって…
「マセてんなァ。難儀そうなマセ方だ」
特にショックを受けるでもなく、ハッと笑った。
「ま、受け入れちまったほうが、己の身は守れずとも、心は守れるってか。それも一理はあるだろうぜ。」
タズ
「……いねェとは言わねェさ。嘘言うと彼奴等に悪い。」
ぽりぽ…
「……皆さんは、他人。ですよ」
サラッと言い放つ。
「だって、僕の素性を知ってもどうすることも出来ないでしょう?少しの間、共にいるだけの関係は、この世界でなくともありふれています」
オーリヴェル
「…アウトロー、ですか。それでも、頼れる仲間は、部下は、上司…
「……いねェとは言わねェさ。嘘言うと彼奴等に悪い。」
ぽりぽりと首元を掻いた。
「ンでも、いなかったら作りゃいいとはなっちゃ駄目なのかね。例えば……オメーにとっての俺等は違うのか?」
タズ
「……そう見えるか?なら重畳。一応元の世界じゃ色々時々気ぃ使…
「…アウトロー、ですか。それでも、頼れる仲間は、部下は、上司は、家族は、いるのでしょう?」
アナタでは分かりませんよ。と自分の取り皿に取っていた残りを食べ切る。残すと勿体ないから。
オーリヴェル
「……極北の中でも有数の、四大王族の1つです。重くないなんても…
「……そう見えるか?なら重畳。一応元の世界じゃ色々時々気ぃ使ったりはするさ。夜の底にも多少の秩序は要るからな。」
気楽になったのは歳とって余裕できたからかね、と天を仰いだ。
「まァ、俺はアウトローだからな。」
タズ
「…………なーるほどな。難儀だねェ、上の世界ってのは。夜の底じ…
「……極北の中でも有数の、四大王族の1つです。重くないなんてものじゃありませんよ」
あの家に産まれた。それだけで自分の生は縛られた、産まれたことが不幸だなんて、誰が一体考えたんだ?
「……タズさんは逆に、気楽そうで羨ましいです。所作も、呼吸ひとつも、気にしなくていいのだから」
オーリヴェル
「……諦めていて何が悪いのでしょうか?」
長年それに晒され続…
「…………なーるほどな。難儀だねェ、上の世界ってのは。夜の底じゃあそう見られねェ考え方だ。いや、メンツっていう似た概念はあるにはあるが。」
一周回って興味深そうに。
「そんなに家族の名前ってのは重いのかい?」
タズ
「それだよ、それ」
長い嘴をずびし、と。
「そのウジウジし…
「……諦めていて何が悪いのでしょうか?」
長年それに晒され続けた結果。翼があるのに飛べない、足はあるのに走れない。そんな者が出来上がった。それが自分だ。
「僕の首には、まだ首輪が括り付けられている。家族の名前に傷をつける行為をした瞬間、僕の命は僕でなくなるでしょう。どこへ行こうとも逃げられないのに、何故諦めてはいけないのですか?」
オーリヴェル
「……ええ。こちらの事情も知らず、随分ずけずけと言ってくるの…
「それだよ、それ」
長い嘴をずびし、と。
「そのウジウジしてるっつーか、なんか諦めてそうな感じ。それがパトリシアには引っ掛かったんだってよ。」
タズ
「あー…パトリシアはな、オメーのことを案じてたんだよ。」
「…
「……ええ。こちらの事情も知らず、随分ずけずけと言ってくるので」
すん…と無表情。
「僕の王族は名ばかりです。それに見合った物は何一つありませんよ」
オーリヴェル
「……タズさん。彼女はなんと?」
鍋をつつきつつ、なんとなく…
「あー…パトリシアはな、オメーのことを案じてたんだよ。」
「聞いたぜ、オメー王族なんだって?それがどうとか、ご兄弟がなんとか。色々話してたみてェじゃねーか。」
2026年6月5日